クライアントファーストを実現する働き方とは?(前編)IFAファイナンシャル・アドバイザーの働き方

クライアントの資産運用を支援する仕事はIFA以外にも様々なカタチがあります。
今回はある証券会社からマネアドのIFAに転じた白崎さんに、「クライアントファーストを実現する働き方」についてお話をお聞きしました。まずは前職の証券会社勤務時代を振り返ります。
 
――証券会社に勤務されていたそうですが、どんな毎日だったのか教えてください
(白崎)朝は早かったですね。4時半起床で550分には出社していました。
 
――そんなに早いのですか。
(白崎)出社早々、「支店長が手に入れた観葉植物への水やり」といった雑用が山ほどあります。支店全体の朝会は8時ですが、7時半からの各課会議の前に、朝会で使用する業務連絡書類やコミッション表などのたくさんの資料を取りまとめなければなりません。全部で70セット。慣れると早いのですが、たまにホチキスの角度が悪いと「魂がこもっていない!」などと叱られるので、慎重に準備しなければなりません。
 
――なかなか指摘が細かいですね。朝会が終わったら営業に出るのですね。
(白崎)はい。外交に行きたいところですが、たまに支店長に呼び出されることがあります。その理由が「週末の支店対抗コンペの順位が悪いこと」に対する叱責だったり。「そんなことで呼び出されるのか」と思いつつもひたすら謝罪を繰り返し、外交前の大事な時間を失うこともありました。
 
――外交前にかなりのエネルギーを使ってますね。
(白崎)そうです。9時になってようやく自転車に乗って住宅街のローラー外交を進めるのですが、4時半起床ですからこの時点ですでに眠くて。全力で仕事に取り組めないことに対して、とても悔しい思いをしていました。
 
――その後も住宅街の外交を続けるのですか。
(白崎)午後は法人外交に切り替えます。優良な法人が入っているビルに飛び込み、最上階から1階ずつ下りて訪問する「パラシュート外交」をします。
 
――効果はあるのですか。
(白崎)上司から「社長の名刺を毎日30枚持って帰ってこい」と言われているので、法人口座の開拓というよりも名刺を必死に集めている感じです。とてもつらかったです。
しかし、時には優しい社長と巡り合うこともあって口座を作っていただくこともありました。
 
――法人外交を終えて支店に戻られるんですね。
(白崎)夕方17時に支店に戻って上司に名刺の束を見せるんですが、名刺の数が少ない日は「もう一度外交してこい」と言われ、普通のサラリーマンが帰宅する姿を羨ましく見ながら飛び込み外交を続けるのです。
 
――過酷な営業ですね。
(白崎)はい。でも「遅くまで仕事を頑張っているね」と夜ご飯をご馳走してくださる社長もいました。頑張っている姿を見てくれているお客様は必ずいるのだと思います。
 
――夕方からの法人外交はいつ終わるのですか。
(白崎)20時ごろに上司から電話が掛かってきて「帰ってよい」と言われることが多くありました。しかし、受話器の向こうは飲み屋で騒いでいる様子が多かったですね。
 
――それは腹立たしいですね。
(白崎)はい。ですから「この上司に少ない預かりでどうやって勝つか」を毎日考えながら帰宅する日が続きました。その頃は「上司250億円に対して私は8億円」といった感じで現実的に勝つのは難しかったです。しかし、「今その上司が新規開拓をして8億のキャッシュを入れるのは難しいはずだ」と確信していましたから、何とかして勝てないかと考えていました。
 
――勝つためにどんな工夫をしていたのですか。
(白崎)見込んだ重点法人を中心に手紙を毎日4通書いてました。1通書くのに40分くらい。22時から始めて書き終わるのが24時でした。
 
――かなり過酷な環境だったように思いますが、あえて「学べる点」があったとしたらどんなことですか。
(白崎)ひたすら厳しい環境に耐え続ける毎日でしたが、顧客の開拓の仕方や我慢の仕方は学べたかもしれません。しかし、昭和でも平成でもない令和の時代においては、本当に使うべきことに時間をかけて働くほうが楽しいですし、なにより自分の成長スピードが何倍にもなると思います。
 
――ありがとうございます。では、次回はマネアドのIFAになってからはどんな働き方に変わったのか、お話をお聞かせください。(後編に続く)