現在、多くのお客様から、この「旧NISAの出口戦略」について、非常に多くのご相談をいただいています。
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「一般NISAで持っている株、どうするのが一番いいの?」
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「値下がりしてる株も、課税口座に移すべき?」
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「新NISAの枠を使って買い直した方がいいって本当?」
この記事では、資産運用のプロフェッショナルとして、旧NISAの非課税期間が終了する今、「絶対に知っておくべきこと」と「今すぐ取るべき選択肢」を、徹底的に解説します。
手遅れになって「知らなかった」と後悔する前に、ご自身のNISA口座の状況を確認しながら、読み進めてください。
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【第1章】あなたのNISAは大丈夫?「旧NISA」のタイムリミット
まず、大前提のルールをおさらいします。
2023年までの「旧NISA」と、2024年から始まった「新NISA」とは、全くの別物です。
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新NISA(2024年〜): 非課税期間が「無期限」。
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旧NISA(〜2023年): 非課税期間に「期限」がある。
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一般NISA: 最大5年間
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つみたてNISA: 最大20年間
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新NISAの口座を持っていても、旧NISAの口座が自動的に「無期限」になるわけではありません。旧NISAは旧NISAのルールのまま、定められた期限を迎えます。
迫り来る「5年」のタイムリミット
「つみたてNISA」は最長20年間のため、2018年に始めた方でも、非課税期間は2037年末まで続きます。まだ慌てる必要はありません。
しかし、問題は「一般NISA」です。
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2020年に投資した分 → 2024年12月末に終了
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2021年に投資した分 → 2025年12月末に終了
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2022年に投資した分 → 2026年12月末に終了
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2023年に投資した分 → 2027年12月末に終了
非課税期間が終了すると、どうなるのか?
答えはシンプルです。
あなたが何もしなければ、旧NISA口座で保有している資産は、非課税期間が終了する年の年末の「時価」で、自動的に「課税口座(特定口座または一般口座)」に払い出し(移管)されます。
新NISAの口座に自動で移してくれるわけではありません。
「非課税」の世界から「課税」の世界へ、強制的に移動させられてしまうのです。
【第2章】損していても課税される「取得価額」のリセット
「まあ、課税口座に移るだけなら、大した問題じゃないのでは?」
そう思った方。問題は、課税口座に移管される際の「取得価額(=元手の金額)」にあります。
課税口座に移管される資産の「取得価額」は、あなたが「当初NISA口座で買ったときの価格」となりません。「非課税期間が終了した年末の時価」に、強制的に上書き(リセット)されてしまうのです。
言葉では分かりにくいので、具体的な例で見てみましょう。
【事例】50万円で買った株が、30万円に値下がりした場合
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2020年(旧NISA): A社の株を50万円で購入。
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2024年末(非課税終了): A社の株価は下落し、時価30万円に。
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→ NISA口座から課税口座へ、「取得価額30万円」として自動移管される。
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2025年(課税口座): A社の株価が少し回復し、40万円になったので売却。
さて、この時、税金はどうなるでしょうか?
【あなたの感覚】
「もともと50万円で買った株を40万円で売ったのだから、10万円の損だ。もちろん税金はかからない」
【税制上の現実】
「課税口座での取得価額は30万円。それを40万円で売ったのだから、10万円の利益が出ている」
→ この利益10万円に対して、20.315%の税金(約2万円)が課税されます。
実態としては当初の買付価格(50万円)から見て10万円の損失を出しているにもかかわらず、非課税期間が終了し、課税口座に移管された瞬間に、「取得価額」が30万円にリセットされるため、10万円の利益が出たものとみなされ、課税されてしまうのです。
これは、値上がりしている資産でも同様に起こります。
例えば、50万円で買った株が100万円に値上がりして課税口座に移管された場合、取得価額は100万円になります。その後、110万円で売れば利益は10万円(110万-100万)ですが、もし90万円に値下がりして売ってしまうと、「課税口座上では10万円の損失」となり、NISAで得た利益(50万円)を一部失うだけでなく、税制上のメリット(損益通算)も限定的になります。
このルールを知らずに「放置」することこそが、非課税の恩恵を自ら手放すことになるのです。
【第3章】タイムリミットまでに選べる「3つの選択肢」と、プロの視点
では、非課税期間が終了するまでに、私たちは何ができるのでしょうか?
選択肢は、大きく分けて次の3つです。
選択肢①:非課税期間中に「売却」し、新NISAで「買い直す」
最も合理的、かつ、新NISAのメリットを享受できる可能性のある選択肢です。
【流れ】
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2025年末までに、旧NISA口座で保有している資産を売却します。
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このとき、どれだけ利益が出ていてもNISA口座内なので非課税(税金0円)です。
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売却して得た現金を使い、新NISAの口座で、同じ銘柄(または別の将来有望な銘柄)を買い直します。
【メリット】
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利益の完全非課税: 旧NISAで得た利益を、税金ゼロで確定できます。
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「無期限」への乗り換え: 新NISAで買い直すことで、その資産は「非課税期間が無期限」の資産に生まれ変わります。これで、将来の非課税期間の終了に悩む必要はなくなります。
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ポートフォリオの見直し: 「本当にこの銘柄を持ち続けるべきか?」を考える絶好の機会になります。不要な銘柄を整理し、より良い投資先に資金を振り分けるチャンスです。
【注意点】
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新NISAの「非課税枠」(成長投資枠年間240万円)を使用することになります。
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売却から買い直すまでの間に、株価が変動する可能性があります。
選択肢②:非課税期間中に「売却」して「現金化」する
「利益が出ているので、ここで一旦リセットしたい」「この資産はもう持ち続けたくない」という場合の選択肢です。
【流れ】
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2025年末までに、旧NISA口座で保有している資産を売却します。
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利益は非課税(税金0円)です。
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売却して得た現金を、そのまま保有します(新NISAで買い直さない)。
【メリット】
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利益を非課税で確定し、現金として手元に残せます。
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手続きがシンプルで分かりやすいです。
【デメリット】
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投資が終了するため、株価が上昇した場合には将来の値上がり益(複利効果)は得られなくなります。
選択肢③:「何もしない」(=課税口座への自動移管を“あえて”選ぶ)
注意が必要な選択肢であり、基本的には推奨されません。
【流れ】
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2025年末まで、何もしません。
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年末の時価で、自動的に課税口座に移管されます。
【メリット】
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何もしなくてよい(ただし、これはメリットとは言えません)。
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中長期的に株価上昇が見込めないが、株主優待や配当金だけが目的で、売るつもりもない、という特殊なケースでは選択肢になり得ます。
【デメリット】
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第2章で解説したとおり取得価額が「非課税期間が終了した年末の時価」へと変更されます。
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将来、取得価額から値上がりした際の利益は全て課税されます。
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移管後に受け取る配当金や分配金も、全て課税されます。
【注意!】非課税で売却する際の最終期限に注意
選択肢①②を選ぶ場合、「年内の受渡日」までに売却を完了させる必要があります。
株式の場合、売却注文が約定してから受渡日(決済日)まで数営業日かかります。
2025年の場合、年末ギリギリに売却注文を出しても、受渡日が年明け(2026年)になってしまうと、それは「非課税期間終了後」の取引とみなされ、課税対象となってしまいます。
投資信託など株式以外の12月の最終売買日は、ご自身が利用する証券会社で必ず確認してください。
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【第4章】「分かっていても動けない」── あなたがIFAに相談すべき理由
ここまで読んで、理屈は分かった、という方も多いでしょう。
「利益が出ている株式は、売ってから新NISAで買い直せばいいでしょ?」
「損している株式は、課税口座に移るから、その前に売った方がいいだな」
しかし、本当にそう単純でしょうか?
ここからが、私たち資産運用アドバイザー(IFA)の専門領域です。
「旧NISAの出口戦略」は、単純な「手続き」の問題ではなく、あなたの資産全体を見直す「最高の戦略的タイミング」なのです。
戦略的ジレンマ①:値上がりしているA株(優待・配当あり)
例:2020年に50万円で買い、現在80万円になっているA株。株主優待も配当も魅力的。
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手続き論: 「30万円の利益が出ているから、非課税のうちに売却(選択肢①)して、新NISAで買い直しましょう」
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戦略的論点:
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本当にその銘柄を「無期限」で持ちたいですか? 新NISAの貴重な枠(生涯1,800万円)を、そのA株に使うことが、あなたの資産形成にとって最適解でしょうか?
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優待や配当の権利確定日はいつですか? 売却・買い直しのタイミングを誤ると、楽しみにしていた優待・配当がもらえなくなるかもしれません。
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「クロス取引」という手法を知っていますか? 国内株式であれば、旧NISAの「売り」と新NISAの「買い」を同時に行う「クロス取引」を使うことで、株価変動リスクを抑えつつ、優待の権利を維持したまま乗り換える、といった高等テクニックも存在します。これは専門的な知識が必要です。
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戦略的ジレンマ②:値下がりしているB株(塩漬け状態)
例:2020年に50万円で買い、現在20万円になっているB株。いつか戻ると信じて保有中。
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手続き論: 「損しているから、取得価額が変わるのは困る。今のうちに売ってしまおう(選択肢①or②)」
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戦略的論点:
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「損切り」は正しい判断かもしれません。しかし、問題は「その20万円をどうするか」です。
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もし、そのB株に将来性がないと判断するなら、売却して得た20万円は、新NISAを使って、全く別の、将来性のある投資信託や株式に振り向けるべきです。
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逆に、「今は業績が悪いが、数年後には回復すると強く信じている」のであれば、あえて課税口座に移管(選択肢③)させ、取得価額20万円で持ち続け、将来のV字回復(例えば100万円への上昇)を狙う、という戦略も「ゼロ」ではありません(ただし、可能性としてはかなり疑問です)。
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戦略的ジレンマ③:複数年にわたって購入した投資信託
例:投資信託Cを、2021年、2022年、2023年と、一般NISAで毎年買い増してきた。
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手続き論: 「2025年末に期限が来るのは2021年分だけ。2022年以降の分はまだ大丈夫」
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戦略的論点:
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多くの証券システムでは、投資信託や株式は「先入先出法(FIFO)」で管理されます。
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つまり、あなたが「売りたい」と思って一部を売却した場合、自動的に「一番古い年(この場合は2021年)に買った分」から売却される仕組みになっています。
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「2021年分だけを売って、2022年以降の分は残す」といった器用な調整が、ご自身で簡単にできるでしょうか? 証券会社によっては、年(勘定)ごとの売却指定が難しい場合もあります。
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【第5章】結論:あなたの「旧NISA」、手遅れになる前に専門家と点検しませんか?
「旧NISAの期限切れ」という、このイベントは、見方を変えれば、あなたの資産全体を棚卸しし、最適化する「最大のチャンス」です。
しかし、そのチャンスを活かすには、
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税制(NISA、特定口座、損益通算)の正しい理解
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市場(その銘柄が今後も持つべきか)の分析力
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戦略(ポートフォリオ全体の中でどう位置づけるか)の立案
という、3つのスキルが必要です。
「手続きが面倒くさい」
「どの株式をどうすればいいか、自分では判断できない」
「あの“損しても課税される仕組みだけは、絶対に避けたい」
もし、あなたが少しでもそう感じたなら、手遅れになる(=年末が来てしまう)前に、資産運用のプロフェッショナルにご相談ください。
私たちマネーアドバイスセンターは、特定の証券会社や銀行に所属しない、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)です。
「この商品を売らなければならない」といった営業ノルマは一切ありません。
ただ、お客様の資産が将来にわたって最適に運用されることだけを考え、中立的な立場でアドバイスを提供します。
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あなたの旧NISAの保有状況(どの銘柄が、いつ期限切れか)の確認
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値上がり銘柄、値下がり銘柄、それぞれの最適な出口戦略のご提案
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新NISAの生涯枠(1,800万円)を、今後どう使っていくべきかのシミュレーション
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(ご希望があれば)クロス取引などの専門的な手続きのサポート
これらを、あなたの「資産の主治医」として、伴走しながらお手伝いします。
「知らなかった」で、大切な非課税の恩恵を失うことのないよう、まずは一度、お気軽にご自身の状況をお聞かせください。
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