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株式投資の醍醐味
――はじめて投資をするのですが、どのように考えたらよいでしょうか?
(斉藤)お答えする前に、投資の醍醐味についてご紹介します。ヤフージャパン、現在はZホールディングスですが、新規公開したときの株価をご存知ですか?
――いいえ
(斉藤)1997年11月4日に1株70万円で募集された新規公開株が店頭公開した時の初値は200万円でした。わずか1か月足らずの出来事です。
――1か月で約3倍になるなんてすごいですね。
(斉藤)この程度の成果は新規公開ではよくあります。本当に驚くべきなのはその後の推移です。約1年後に1000万円を超え、2月には2000万円、3月には3000万円を超えます。
――なんだかワクワクしてきますね。
(斉藤)3月末には1:2の株式分割を行います。つまり一株の所有者は二株の権利者になったことになります。変動を繰り返しながら、4月に再び3000万円、7月には5000万円を超えます。当初の所有者は株数2倍なので1億円を超えたことになります。9月末には再び1:2の株式分割が行われ、当初の所有者は4倍の株数を持ったことになります。
――ワクワクを通り越してきました。
(斉藤)そして翌2000年2月には圧巻の日本株市場の最高値1億6780万円を記録します。当初の所有者は4倍の株数を所有していますから、6億7120万円です。初値2000万円から335倍、公募株70万円からはなんと957倍になったのです。
――早いタイミングでこうした企業に投資をするとすごい成果につながるのですね。
(斉藤)そうです。今でこそ誰もがスマホやパソコンでインターネットにアクセスし、検索をすることが当たり前の風景です。店頭公開直後のヤフージャパンが当時ごく短期間に1000倍近くに高騰したことは、その後22年間のインターネット時代の到来・普及を予見していたと考えて良いでしょう。
しかし、このように短期で急騰する株式を選択することは困難です。もしインターネット業界に投資をすることができたとしても、同じ時期に上場して後に上場廃止となっている企業もありますし、「当たりの株」を選ぶのは容易ではありません。
「選ばない」インデックスファンド
――株を選ぶのは難しいですね。
(斉藤)だから、最初は「株を選ばなければよい」のです。
――「株を選ばない」ですか?
(斉藤)選ばないで買えるものがあります。それがインデックスファンドです。日経平均株価やアメリカのダウ平均株価などの株価指標と同じ値動きをするように作られた投資信託のことです。
――個別の企業ではなく、日本株やアメリカ株など全体的な数値を見るのですね。
(斉藤)そうです。例えば東証株価指数(TOPIX)は東京証券取引所の一部上場株の時価総額を指数化したものですし、ダウ平均株価はアメリカの代表的な企業銘柄の平均株価を基に指数化しています。
インデックスファンドをお薦めする理由
(斉藤)日経平均株価やダウ平均株価などのインデックスファンドは、成熟した大型株の株価を反映します。産業構造を一変したり創造する強力なベンチャー企業は、仮に上場したとしても時価総額が小さかったり、対象銘柄に採用されていません。したがってヤフージャパンのような急成長と株価急上昇はインデックスファンドに反映されません。言い換えると、インデックス投資は、「比較的リスクを取らず、リターンも取れない投資」と言えます。
――リスクを取らない分、リターンを取れないのですね。
(斉藤)しかし、長期的に見ればリターンは取れる可能性が高いです。実際にダウ平均株価を40年前と今とで比較してみましょう。40年前の1979年1月のダウ平均は3154.63ですが、2019年1月は25499.66と大幅に伸びていることがわかります。
――確かに長い目で見ると伸びていますね
(斉藤)もちろんブラックマンデーやリーマンショックによる急落など異常な変動もあります。しかしそうした急変動があっても30年、40年の長期間で見れば総じて株式指数は伸びていることがわかります。
――なるほど、すごい増え方ですね。
(斉藤)インデックスファンドの場合、かつてのヤフージャパンのような「当たり株」の伸びは期待できません。同時に、その企業が上場廃止になって株が紙くずになるような「はずれ株」の心配もありません。たしかに、インデックスファンドは「はずれ株」を避けるために「当たり株」の利益を放棄しており、「リスクを取ることを放棄している」という言い方もできるかもしれません。例えば1,000円の株に投資した場合、どんなにひどい失敗をしても、損失は1,000円に限定されます。一方、成功した場合、利益は1,000円に限定されず、ヤフージャパンのようにわずか数年で100万円近くになることもあります。株式投資における利益の可能性は無限大です。損失と利益の可能性は非対称なのです。
――そう考えると株式投資は魅力的です。
(斉藤)株式投資の中でも、インデックスファンドは「株式市場全体の成長を間違いなく取るために、株式の醍醐味の多くを放棄している」という面があります。このことを頭の片隅においておくと、インデックス投資のその先が見えてくるでしょう。
(この投稿は、弊社IFA斉藤琢也への取材をベースにして、インタビューアーが文章化したものです)
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